家電量販店に行くと分かる、今の日本人の暮らし
― 昔と今、そして未来へ。時代とともに変わる「家電の選び方」 ―
■ 昔:家電量販店は「家族イベント」の舞台だった
昭和~平成初期、家電量販店は“家族の夢”が詰まった場所だった。
新婚夫婦が炊飯器と電子レンジを買い揃え、テレビや冷蔵庫は「結婚祝い」の定番。
ファミリー層は新しいビデオデッキを前に、子どもたちとどれにしようか悩んでいた。
店員とのやり取りはまさに駆け引き。
「これ、もうちょっと安くならない?」が飛び交い、週末はイベントや特売で大にぎわい。
子どもたちの目的は、ゲームの試遊台とガチャガチャコーナー。
家電を買うこと自体が“娯楽”であり、“記念日”だった。
■ 現在:家電量販店は「生活の効率化と比較の場」に
令和の今、家電量販店はずいぶん静かになった。
棚にはスマート家電が並び、訪れる人々はスマホ片手に価格やレビューを確認しながら商品を吟味する。
接客を受けるよりも、スペック表と口コミが信頼される時代。
「見て、触って、帰ってネットで買う」という行動が主流になってきている。
だが、その“静かさ”の中にこそ、今の暮らしの多様性がある。
単身者も、共働き夫婦も、高齢世帯も、それぞれ違う視点で「自分に合う暮らし」を探している。
■ 年代別・家電購入スタイルで見る、時代の流れ
🔵 Z世代(1997年以降生まれ)
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購入傾向:ミニマル&デザイン重視、SNS映え家電
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よく買う家電:スマートスピーカー、小型プロジェクター、1人用調理家電(ちいかわホットサンドメーカーなど)
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特徴:レビューとSNSが最優先。必要ならレンタルもアリ。タッチ&トライよりも“動画で検討”。
🟢 ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)
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購入傾向:効率&時短重視、共働き夫婦に最適化された家電
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よく買う家電:食洗機、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機、ノンフライヤー
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特徴:家事負担の分担が前提。比較検討力が高く、ネット+実店舗のハイブリッド購入が主流。
🟡 団塊ジュニア世代(1971~1980年生まれ)
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購入傾向:子育て&家族全体を意識した家電選び
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よく買う家電:高性能エアコン、冷蔵庫、ファミリー向け炊飯器、空気清浄機
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特徴:家電量販店で“実物を見て納得して買う”スタイルを今も重視。店員との会話を大切にする。
🔴 団塊世代(1947~1949年生まれ)+シニア世代全般
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購入傾向:操作が簡単で故障しにくい家電、サポート重視
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よく買う家電:シンプルな操作の電子レンジ、見守り機能付き冷蔵庫、据え置き型電話機
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特徴:ネットより「人の説明」を信頼。長年使ってきたメーカーへのブランド愛が強い。
■ 未来:家電量販店は「暮らしの編集スタジオ」へ
これからの家電量販店は、商品を“売る”よりも、体験させる・試させる・カスタマイズする場所へ進化していく。
店内にはモデルルームが設置され、IoTやAI連携家電を実際に操作して、
「未来の自分の暮らし」をその場で“シミュレーション”できるようになる。
未来の買い物のカタチ:
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自分のライフスタイルを登録すれば、最適な家電の組み合わせを自動提案
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拡張現実(AR)で自宅に家電を“配置して試す”
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レンタルで1週間使い、その場で返却・購入可能
家電は「物を買う」から「暮らしを整える」へ。
量販店は、暮らしのコンシェルジュ的存在になっていくだろう。
■ 終わりに:家電量販店は、時代の空気を映す場所
時代が変われば、家族も、生活も、家電も変わる。
それでも、家電量販店に行けば、「今の暮らし」が見えてくる。
かつて家族みんなで訪れたにぎやかな売り場も、
今は静かに、でも着実に「あなたに合った暮らし方」を支えてくれている。
昔を思い出したり、今の自分を確認したり、未来の暮らしにワクワクしたり──
たまには、ふらっと家電量販店を歩いてみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたの“暮らしのヒント”が、棚のどこかに並んでいます。