5月とはどんな月だったのか?
5月って、何してたっけ?
気づけばもう月末。なんだかあっという間に過ぎていくこの季節。4月の「新生活スタート!」の盛り上がりが終わり、6月には梅雨が待ち構えている。5月はそのちょうど間。まるで、大きなイベントに挟まれた“つなぎ役”みたいなポジションだ。
しかも、5月の始まりといえばゴールデンウィーク。カレンダー上のハイライトは、正直そこで終了してしまう。後半の半月は“おまけ”というか、“消化試合”のような空気も否めない。そんな5月にふと疑問が湧いた。
「5月って、本当はどんな月なんだろう?」
暦の上では、5月は“初夏”
実は5月って、暦の上では「夏」になるらしい。
日本の二十四節気でいえば、5月上旬に「立夏(りっか)」、下旬には「小満(しょうまん)」がある。草木が一斉に芽吹き、生命力に満ちあふれる時期。
旧暦でいうところの「皐月(さつき)」は、“田植えの月”という意味もあるそうだ。水を張った田んぼに青空が映る季節。昔の人は自然の動きとともに暦を感じていたんだなあと、しみじみする。
5月は、春の名残を感じながら、夏へと向かう節目の月。天気も安定していて、湿度も少なく、過ごしやすさでは年間トップレベルの月なのに、その存在感はどこか薄い。ちょっと損な役回りのような気もする。
海外では祝祭の月
一方で、世界に目を向けてみると、5月はわりと賑やかだ。
たとえばアメリカでは「メモリアルデー(戦没者追悼記念日)」があるし、フランスやヨーロッパの多くの国では「メーデー(労働者の日)」が祝日になる。
イギリスでは「メイポール」という春の祭りが行われる地域もある。色とりどりのリボンを巻きつける様子は、まさに春と夏の境目にふさわしい光景だ。
日本では5月といえば「端午の節句」や「母の日」があるけれど、どこか“控えめ”な印象。でも世界的に見ると、5月はわりと大切にされている月なのだ。
「5月病」と言われるけれど
そんな5月の日本における代名詞といえば、やっぱり「5月病」だろうか。
入学、入社などのビッグイベントを終えて、緊張感から少し解き放たれる頃。新しい環境でがんばっていた人たちが、ふと立ち止まり、疲れが出てしまう。
やる気が出ない。朝起きるのがつらい。未来のことを考えると不安になる――。
そういった症状が出るのが、ちょうどこの季節。
でも、5月病って、まじめな人ほどなりやすいという。新しい環境に全力で適応しようとして、がんばりすぎた結果、心がついていかなくなる。
だから、そんなときこそ無理せず、自分をいたわってあげるのが大切だ。
歴史の中の5月
ちなみに歴史を紐解くと、5月にはいくつもの象徴的な出来事がある。
たとえば、1932年の「五・一五事件」。日本の政治に大きな影響を与えた事件であるし、1947年5月3日は「日本国憲法の施行日」。これは戦後日本の大きな転換点でもあった。
つまり5月は、ただの“のんびりした月”ではなく、変革と始まりの月でもあるのだ。
実はイベント盛りだくさん
思い返してみれば、5月って意外とイベントが多い。
こどもの日、母の日、運動会に遠足、地域によっては田植えやお祭りもある。
公園ではバラが咲き、風が気持ちいい。ピクニックにぴったりだし、キャンプシーズンの始まりでもある。
そう、5月は実は“最高の外遊び月間”でもあるのだ。
でもその快適さゆえに、記憶に残りにくいのかもしれない。
5月を「味わう」には?
ゴールデンウィークが終わると、つい“終わった感”に包まれがちな5月。
でも、実はまだまだ残ってる。
夕暮れ時の風、日差しの柔らかさ、ふと香る花の匂い。そういう一瞬を、意識してみるだけでも、5月がただの“中だるみ”から“癒しと回復の月”に変わるかもしれない。
スケジュール帳が真っ白でもいい。SNSにアップするようなイベントがなくてもいい。
「今この瞬間、気持ちいいなあ」と思える時間を大切にすれば、今年の5月はきっと、特別な思い出になる。
おわりに
5月は、派手なことは起きないかもしれない。けれど、そんな“静かな季節”だからこそ、自分と向き合ったり、自然を感じたり、心を整える時間が持てる。
今年の5月、まだ終わってない。
あと少し、最後まで味わい尽くしてみようじゃないか。