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異常気象が“普通”になった時代に、季節感は残っているのか?

夏が早すぎる、冬が長い、春と秋の短さに感じる違和感

①異常気象と日常の感覚の変化

近年、異常気象はもはや驚くべき出来事ではなくなりつつある。暑さが早く訪れ、長引き、冬の寒さが予想外に続き、逆に春や秋はあっという間に過ぎ去る。それでも人々は、これを「異常気象」と呼び続け、どこかで違和感を感じながらも、どこかでそれが「普通」になっている自分に気づかされる。今や毎年、「今年もまた異常だな」と感じながらも、どこか冷静に受け入れている自分がいる。

これが、今の時代の特徴であり、異常が「普通」になってしまっている現実だ。報道を見ても、異常気象に関するニュースは当たり前になり、それを受けての日常の調整もまた、生活の一部として受け入れられている。

私たちの意識の中で、季節感が変わり、気候の変動に対する感覚がどんどん鈍化している。季節ごとの風物詩や気候の特徴が薄れ、むしろ「季節感」をどこで感じ取るのか、という問いを投げかけられている。


② 異常気象がもたらす季節感の変化


異常気象により、夏の到来が早く、またその終わりが掴みづらくなった。昨今、梅雨明けが早まることが多く、7月にはすでに真夏のような暑さが続く。それが当たり前のようになってきた今、暑さに対する体の適応力も、年々鈍化しているのではないかと思う。それに加え、秋の気配が早く訪れることが少なくなり、夏が長引くことが常態化しているように感じる。夏が訪れるのが早すぎて、まだ春を楽しんでいたい気持ちを持ちながらも、汗ばむ日々が続く現実。真夏のピークを過ぎても、なかなか涼しさが感じられず、夏が終わった実感を持つのが遅くなる。


逆に、冬は長引くことがしばしばあり、暖冬と呼ばれる年もあれば、寒波による極寒が長引くこともある。もはや、冬の寒さを予測するのが難しい時代に突入した。寒い日々が続く中で、冬用の衣服を早々に準備しても、その使用期間が長く、逆に春服を着るタイミングが遅れることもある。衣替えのタイミングがわからないまま、冬が長く感じられ、寒さが続くことで季節感のズレを実感する。

春と秋
そして、春と秋が短くなった。この2つの季節の移行が、あまりにも急激になってきているのが問題だ。春が訪れたかと思えば、すぐに真夏のような暑さがやってきて、秋が感じられるころにはすでに寒さが深まっている。特に春は花が咲き誇り、気温が心地よくなる時期が短く、あっという間に夏へと移り変わってしまう。また、秋も暑さが続く影響で紅葉を楽しむ時間が減り、気づけば冬がすぐそこに来ている。その結果、季節ごとの楽しみが見逃され、季節感を味わう機会が失われつつある。


③ 異常気象を受け入れることの社会的・心理的影響

異常気象が日常となり、その影響が大きくなった社会では、次第に人々の心の中に慣れと冷静さが生まれてきた。気候の異常に対して、もはや「今年もまた異常だな」と言いながら過ごすことが普通になり、天気予報で異常気象の予報が出ても驚くことが少なくなった。毎年続く異常気象に対しても、私たちは無意識に順応し、特に大きな不安や心配を感じることは少ない。

こうした慣れが、人々のライフスタイルに微妙な影響を与えている。例えば、夏物や冬物の衣服を早くから準備し、季節を先取りするような消費行動が当たり前になってきている。また、急激な気温の変化に対応するため、外出時の服装を何度もチェックするなど、季節感を意識することが、もはや一つの生活習慣として定着している。

季節の変化に対して慣れと共に感じる「普通さ」が、時に冷徹さや無感覚を生み出しているのかもしれない。感情的な反応を失い、感覚的な「違和感」を押し殺し、ただ過ごしていく中で季節感が消失していくのは、ある意味で気候変動の深刻さを軽視する結果となるのではないかとも思える。


④ 季節感の喪失を感じる中で、どう向き合うべきか?

異常気象により季節感が薄れつつある中で、私たちはどう向き合っていくべきだろうか。異常気象がもたらす変化を、ただ受け入れるだけではなく、意識的に季節感を感じ取る努力をしていかなければならない。自然とのつながりを感じ、季節ごとの風物詩や変化を目の前にして、意識的に楽しむ時間を作ることが、心の豊かさを取り戻す鍵となるだろう。

アウトドア活動や季節ごとのイベント、自然と触れ合う時間を増やすことで、失われかけた季節感を取り戻すことができる。例えば、春には花を楽しみ、秋には紅葉を追い求めるなど、毎年変わる季節を心から楽しむ姿勢を持つことが重要だ。季節を感じるためには、意識的にそれを捉える目を養う必要がある。


⑤ 季節感の変化にどう適応するか

異常気象がもたらした季節感の変化に対して、私たちはどのように適応すべきか。それは、ただ単に季節を受け入れるだけでなく、異常気象の中でもどのように自然とのつながりを感じ、季節ごとの楽しみを見つけていくかという問題だ。私たちが心の中で季節感を大切にすることで、変化する環境に対しても柔軟に対応できるだろう。季節感を大切にし、日々の生活の中で意識的にそれを楽しむ姿勢が、現代の生活をより豊かにする鍵となる。